往復書簡:「テニスが好き!」を伸ばしていくことが大切

前略

 

低学年の子たちにはいろんなゲームを考えながら楽しくレッスンしています。
だんだん学年が上がっていくと試合をしたり練習をしたりと「テニス」になってきますが、最初はコートの中を自由に走り回り、ボールを一生懸命追いかけ、そして思いっきり打つ。そんな中からテニスというスポーツに親しみ、子供の中の「テニスが好き!」を伸ばしていくことが大切だと思っています。

なぜなら、テニスというのは2人いれば子供からおじいさんおばあさんまで楽しめるスポーツで、一生の財産になるからです。しかも長野県は一人当たりのテニスコート数が全国一と恵まれた環境にあります。なので子供の時にテニスに興味を持ってくれた子のその気持ちを大切に接していきたいと思っています。

時にはやる気がしないことも、時には他のことして遊びたい時も(たとえばテニスコートで砂遊びとか^^)あるのが当たり前だと思っています。
小学校低学年ならばなおさらです。そんなときには無理やり練習をさせるのではなく、その子のタイミングを見計らって楽しさを伝えていくようにしています。
その子の中に「テニスをやりに行きたい!」という気持ちがあること、それが貴重な子供の自発性だとおもっています。

ですのでYくんが「行きたい!」と言ってくれることをとても嬉しく思っています。

それでは21日お待ちしております。
よろしくおねがいいたします。

飯沼


おはようございます

先日は納得のいくお返事を頂きありがとうございました。私自身、体育会系ではなく小さな頃からスポーツとは縁遠かったので息子にどうやってスポーツと関わらせればいいのか分からなかったのですが何となく方向性が見えてきた気がします。色々な経験をさせてあげることもいいですが、息子の中でテニスがピタッとはまったならまずはやらせてみることで何かが変わるかもしれませんね。

テニス体験、息子に確認しましたが行きたい!とのことでしたのでお願いしたいと思います。

書簡:最初から最後まで休憩もせず動き回っています

 

前略

以下は僕がクラスに対して考えていることですので、お時間のあるときにお読みいただければと思いますm(._.)m。

前回体験でご覧いただきましたように、小さい子から大きい子まで最初から最後まで休憩もせず動き回っています。よく考えると2時間近く体を動かし続けるというのはそれだけでかなりの運動量ですよね、子供達の体力と好奇心はすごいです。そして吸収力は大人が驚くほどです。1度きりの経験であっても子供達は多くをつかみとって成長していきます。子供にとって「やったことある」というのは単なる経験ではなく、世界を広げることなんですよね。

そして子供の好奇心というのは、飽き易さの裏返しでもありますね。
学校の体育授業は45分だけで体を動かす時間は実質もっと少ないですし、30人以上いるので順番待ちなどもあって「飽きる」ところまでいきませんが、やはりなかなか体育だけで運動を好きになるっていうのは難しいのかなと感じます。でも逆に小さな子に一つのことばかりを何時間もやらせるというのも結構難しいですね。たくさんやればいいかというと、そうでもないのが難しいところです。ですので2時間続けてでもいろんな種目をやることは、単にいろんなスポーツができるようになるというだけではなく、集中力とぱっと次に切り替える習慣がつくのだということが、結果的に子供達を見ていて感じます。

僕は小・中学生の頃硬式野球をやっていたのですが、もちろん野球は好きでしたが練習は厳しく、練習中は常に「早く休憩にならないかな」なんて思っていましたし、厳しい練習のおかげで体力はつきましたが、高校ではもう野球はいいや、という感じでした。根性論の時代でしたし、僕自身そういうものだと思っていましたが、明らかに今時代は変わっていますし、大人が子供に答えを教える時代ではなく、子供自身が変化に対応していかなければならないということを感じています。

中学・高校ぐらいになると、自分の進む道を選び、目標のために逆算していま頑張る、という必要もでてきます。しかし小学生のときは、その道を選ぶために多くの経験をすることが必要なんじゃないかと僕は考えています。そして子供の好奇心はそのために与えられた原動力で、それを押さえつけずに伸ばせたらと思います。

もちろん、こつこつ努力すること、積み重ねていく能力も必要です。でもそれは学校で毎日毎日トレーニングされることです。ですからその部分は学校を最大限活用して、授業をしっかり受け宿題をやる、その日々の習慣で十分身につくことだと思います。学校の先生方もそのために日々努力してくださっています。

このスポーツ教室が他の習い事と一番違うのは「毎回のやることが決められていない」ということだと思います。あえてそのようにしているのは、ほぼすべてやることが決められている日々の日課の中で、子供達が自分で感じ考え行動しその結果を受け止める時間と空間を準備したいからです。

ここは競技に勝つ選手を育成する場ではありませんが、それは競技スポーツを否定しているのではなく、まずは「運動を好きな子供になってほしい」と思っているからです。そして「運動が好きなこどもたちになる」ことはこの2年間の子供達の成長を見て確かに感じています。この先子供自身が運動を大好きになり、何かのスポーツを極める中で優秀なスポーツ選手に育っていく可能性も十分にあります。実際に大人も驚くような野球のセンスを持っている小学3年生の男の子もいますから。

そういった運動の技術と違い、僕が子供たちに本当に身につけてほしいと願っている「学ぶ力」や「楽しむ力」といった幸せに生きていく力はすぐ目に見えるものではないかもしれません。でもきっとその種はひとりひとりの子供の中に蒔かれていて、子供達自身が自分で水分や栄養を吸収し、風雨にもまけずに花を咲かせてくれくれると思っています。

 

まなびデザインスポーツ教室
飯沼正樹

往復書簡:「子供時代のこの時期、絶対に体は動かした方がいい」

前略

こんにちは。
いただいたメールの内容とてもとても嬉しいです!
そしてほんとにKくんの感性は素敵だと、それを見守って育てていらっしゃったすばらしいご両親に恵まれて幸せだと思います。

「子供時代のこの時期、絶対に体は動かした方がいい」というご意見、僕もまさにそう思いますし、自分の子供たちにも常々そう考えて接してきました。

巷でよく言われる「スポーツ選手になるにはゴールデンエイジに始めないといけない」というような「〜すべきだ」という考えとは少し違います。
勝負にこだわる性格の子もいれば、争うことよりも調和を重視する子もいます。その一人一人にとってスポーツの位置付けはちがうので、「こうすればよい」という一律な答えは出しようがないのです。

しかしそれでもなお、子供の時に動くことの楽しみや気持ち良さを感じ、動くことそのものが好きになることが大切だと思うのはスポーツを越えた価値があると思うからです。
それは運動するということは動物が生きていく上での基本中の基本だと感じるからです。そして「動きたい」という衝動の強さは、おそらく動物としての生命力の強さに直結していると思います。

学校では多くの時間「動かない」ことを求められますが、インターネットやAIが普及して頭だけで完結してしまうかのようなこれからの世の中で必要なのは、僕は「動くこと」だと思っています。「考えてから動こう」とすると、考えれば考えるほど「動く理由」を見失ってしまうような現状なのです。だから「行動して、そして考える」「わからないからやってみる」ことがより重要になってくると考えています。

そして大人である僕たちができることはその「動きたい」という生まれながらの欲求を、「動き回らずちゃんということ聞きなさい」「動かなくてもスマホひとつでなんでもできる」「少ない労力で効率よくやるのがいい」という世の中の風潮の中で潰されてしまわないように育てていくことだと感じています。

ゲームやYouTubeやテレビで脳の娯楽は誰でも簡単に手に入りますよね、でも何ものにも束縛されず思いっきり体を動かす開放感と爽快感という身体の喜びは逆に手に入りにくくなっている。そんな時代だからこそ、僕は体を動かす楽しさを子供達に伝えて生きたいと思っています。

Kくんが心待ちにしてくれるような場になるよう僕も毎回試行錯誤を繰り返していきたいと思っています。
そしてたくさん親子で体を動かしたという思い出を作っていただきたいと思います。
「親子で体を動かす」よく考えたら、これって動物の子育ての本質、教育の原点かもしれませんね。

4月からKくんと関わっていけることがいまから本当に楽しみです。
どうぞよろしくお願い致します。

お父様にもよろしくお伝えください。

飯沼


飯沼先生
予想外の降雪になりましたね!びっくりです。
Kは、外でそり滑りができ、喜んでいます(^_^)
Kは、2年生の時に仲のいい友達がサッカーを始めるというので、山雅で週に1回だけ一緒に始めたのですが、2年間やって、本人は「もうやりたくない」ということになりました。
同学年のクラスで構成されているのですが、他のお子さんたちは、週に数回練習し、上のクラブチームを目指している子が多い中、「サッカー楽しそうだから。」「仲のいい友達も一緒だから」というノリで始めたKにとっては、最後の方は行くことが憂鬱になっていったようです。
サッカーはやめることにしましたが、夫は子供時代のこの時期、絶対に体は動かした方がいいというので、何かそんな機会はないかと思っていた時にまなびデザインのチラシが来て、Kに色んなスポーツができると話したところ、「行ってみたい」ということになりました。
他の特定のスポーツ教室には全く興味を示しませんでしたが、やはり、体を動かしたい、運動をしたいという欲求はあるんだな、と思いました。
数か月ほど前、知人からお下がりのバッドとグローブをもらったので、夫が時々誘ってキャッチボール等やっていたのですが、Kから「やりたい」ということはありませんでした。
ところが、先日の体験の翌日、Kから夫に「野球をやりたい」と言ったのです!
体験に行ってよかったな、と思いました。
夫は高校の体育教員ですが、以前言っていたのは、「何のスポーツをするかということは大事ではなく、どんな考えの指導者・コーチ等の元でやるかが大事だ」と言っていて、飯沼先生のお考えは、とても共感できると言っていました。
先生も野球をされていたんですね。
夫は高校の体育の教員で野球部の顧問ですが、時代も変わり、指導方法も試行錯誤の様です・・・私にはよくわかりませんが(^_^;)
教室の方は3回コースでお願いします。
4月から楽しみにしております。よろしくお願いします(^_^)

往復書簡:子供の発達には段階があるということを感じています

前略

僕自身は自分の子育てに長年関わり、また教室を通じてお子さんたちの成長を見守ってくる中で子供の発達には段階があるということを感じています。
5〜6歳くらいまでが子供は親と切り離れていなくて「自己」が同一で親と離れることが不安。この段階でスポーツを教えるには、子供にとって親代わりと感じられるような安心感が必要ですね。

7〜8歳くらいになると、親と自分という境目が出てきていわゆる自我が確立してくる、この段階で大切なのは「これやりたい!」という気持ちを受け止めてあげることかなと思っています。子供自身が「自分」でいいんだという自己肯定感を育むことにつながり、それが新しいものに挑戦する自信になっていく。なので僕もできるだけ「やりたい!」を実現する工夫と、「やらせる」にならない工夫をしています。

9〜10歳では自分以外の人の視点や気持ちを考えられるようになり自分と他人の1対1の関係を築く基礎となる複眼的視点を持てるようになる。そうすると、スポーツになぜフェアプレーが必要なのかとか、ルールというのが自分の欲求と相手の欲求がぶつかる中でどちらもが楽しめるためのものだということなどを理解してきます。これが理解できる年頃になって、初めてチームスポーツの本当の意味を理解できるようになると感じます。

11〜12歳では、1対多、つまり集団と自分、社会と自分という概念を理解するようになります。学校生活で言えば、「グループ」ができたり、集団としての好き嫌いが生まれ始めるのもこのころですね。スポーツの中でもそれは現れます。単にチームスポーツができる、というだけでなく、どうやって自分の属するチーム、好きな仲間と勝つことができるかなどということを考えるようになってきます。そしてそこにリーダーシップも生まれてきます。

これが僕が見守ってくる中で感じている小学校段階の子供達の成長の変化です。

そのような視点から見ると、Yくんが今「テニスをやりたい!」と強く言えることがまず素敵なことだと思いますし、前回の体験でそんな自分を発見でしたYくんはとても自分に対して素直な感性をもっていると感じます。そしてそれはとりもなおさず、これまでのご両親や家族の方達の中で愛情を受けて「安心」できていたからこそ、その主張を自分でできるのだと思います。だからそうやって自分の気持ちを表現できることそのものが「自己主張」だと思います。自己主張というのは、目立ちたがることや声の大きいことではないと僕は考えます。自分が本当に思ったこと感じたこと、そしてそれを伝えたいという情熱、それが溢れ出るのが自己主張だと思います。普段口数が少なくても、それができる子はかんたんには揺るがない芯の強さを日々密かに育んでいるそう感じます。

スポーツ教室も、テニス教室も、どちらも同じ考えに基づいて子供達と接していますので、僕はYくんの気持ちとご両親の思いが一致する点があれば、きっとどちらでも構わないと思います。

スポーツ教室でも団体競技だけでなく、個人競技もやりますし、無理に規律や団体行動を押し付けることはしません。
テニス教室も、技術レベルをアップすること、ここの競争に勝つことを目的にした教室ではありませんし、やはりそのなかで協調性、周りを思いやる気持ち、そしてチーム対決やダブルス対決など、ゲーム性を取り入れてやっています。

きっとYくんは自分自身にとって必要なことを、どこからでも学び取って行くと僕は感じています。

どちらが良いというお答えにはなっていませんが、真剣に考えていただいていることに僕なりの考えをお伝えさせていただけました。

中略

最初はやりたいというテニスをやってみて、また様子見てスポーツ教室に来るとかもありですね。中にはそういう子もいますから。
もちろんここだけでなく、世の中にはたくさんのスポーツチームなどもありますから、Yくんの成長に応じて広く可能性を開き、そしてなによりもご家族の中の幸せをひとつひとつ積み重ねていってほしいと願っています。

またご連絡をお待ちしております、じっくり考えて見てください。

飯沼


先日の体験教室、ありがとうございました。

連絡が遅くなり申し訳ありません。

あのあと、息子と話しましたがやはりテニスがとっても楽しかったようで、他の競技には興味がない様子でした。私も見ていてサッカーのような1つのボールを競いながら取り合うような競技だと息子も一歩引いてしまうところがあるので、それよりもテニスのような個人で責任をもってボールを打ち返す競技の方が合っているかなと改めて感じました。
本当は色々なスポーツを通して体を動かしながらチームプレーを身に着けてほしいと思い、体験教室を申し込んだのですが性格的にも個人競技の方がいいと思いました。
息子もテニスをやりたい!と強く言っているのでテニスをお願いしようかと思うのですが…

ただ、その反面、このまま団体競技が苦手なままでも困るかなとも思います。元々自己主張をすごくするタイプではないので、団体競技を通してそれができればいいなと思ったのが今回申し込んだきっかけなんですよね。でも本人の希望通り、テニスに興味を持ったならやらせてあげて伸ばしてあげるほうが良いでしょうか?
少し悩んでいるところです。

書簡:スポーツに関しては「するのが当たり前」な環境で育ちました

Y様

こんばんは、返信いただきとても嬉しいです。
嬉しかったのでもっと書いちゃいますね!(^^)

僕自身もスポーツに関しては「するのが当たり前」な環境で育ちました。
小中のときの野球もその先甲子園に行くことを目指してやっていましたし、だから入った高校では甲子園に行けないとだろうと考え、インターハイに行けそうな部活に入ったんです。それは軟式テニスだったんですが、親が国体選手だったので初心者で始めてもいけるんじゃないかと思ったんですね(笑)。中信地区では優勝できましたが、でもちょっとインターハイには届きませんでした・・・(^^;)
大学では軟式テニスはなかったので、バドミントンと硬式テニスとどちらかにしようと思って、大学1年の時は2つの体育会を掛け持ちでやったんです!テニス部の練習は昼間、バド部の練習は夜だったのでほんとに毎日スポーツばっかりでした(^^)。その後2年生からは硬式テニス一本にして、以来現在まで硬式テニスが僕のメインのスポーツになっています。でもとにかくいろんなスポーツをやってきました。

Continue reading “書簡:スポーツに関しては「するのが当たり前」な環境で育ちました”