書簡:最初から最後まで休憩もせず動き回っています

 

前略

以下は僕がクラスに対して考えていることですので、お時間のあるときにお読みいただければと思いますm(._.)m。

前回体験でご覧いただきましたように、小さい子から大きい子まで最初から最後まで休憩もせず動き回っています。よく考えると2時間近く体を動かし続けるというのはそれだけでかなりの運動量ですよね、子供達の体力と好奇心はすごいです。そして吸収力は大人が驚くほどです。1度きりの経験であっても子供達は多くをつかみとって成長していきます。子供にとって「やったことある」というのは単なる経験ではなく、世界を広げることなんですよね。

そして子供の好奇心というのは、飽き易さの裏返しでもありますね。
学校の体育授業は45分だけで体を動かす時間は実質もっと少ないですし、30人以上いるので順番待ちなどもあって「飽きる」ところまでいきませんが、やはりなかなか体育だけで運動を好きになるっていうのは難しいのかなと感じます。でも逆に小さな子に一つのことばかりを何時間もやらせるというのも結構難しいですね。たくさんやればいいかというと、そうでもないのが難しいところです。ですので2時間続けてでもいろんな種目をやることは、単にいろんなスポーツができるようになるというだけではなく、集中力とぱっと次に切り替える習慣がつくのだということが、結果的に子供達を見ていて感じます。

僕は小・中学生の頃硬式野球をやっていたのですが、もちろん野球は好きでしたが練習は厳しく、練習中は常に「早く休憩にならないかな」なんて思っていましたし、厳しい練習のおかげで体力はつきましたが、高校ではもう野球はいいや、という感じでした。根性論の時代でしたし、僕自身そういうものだと思っていましたが、明らかに今時代は変わっていますし、大人が子供に答えを教える時代ではなく、子供自身が変化に対応していかなければならないということを感じています。

中学・高校ぐらいになると、自分の進む道を選び、目標のために逆算していま頑張る、という必要もでてきます。しかし小学生のときは、その道を選ぶために多くの経験をすることが必要なんじゃないかと僕は考えています。そして子供の好奇心はそのために与えられた原動力で、それを押さえつけずに伸ばせたらと思います。

もちろん、こつこつ努力すること、積み重ねていく能力も必要です。でもそれは学校で毎日毎日トレーニングされることです。ですからその部分は学校を最大限活用して、授業をしっかり受け宿題をやる、その日々の習慣で十分身につくことだと思います。学校の先生方もそのために日々努力してくださっています。

このスポーツ教室が他の習い事と一番違うのは「毎回のやることが決められていない」ということだと思います。あえてそのようにしているのは、ほぼすべてやることが決められている日々の日課の中で、子供達が自分で感じ考え行動しその結果を受け止める時間と空間を準備したいからです。

ここは競技に勝つ選手を育成する場ではありませんが、それは競技スポーツを否定しているのではなく、まずは「運動を好きな子供になってほしい」と思っているからです。そして「運動が好きなこどもたちになる」ことはこの2年間の子供達の成長を見て確かに感じています。この先子供自身が運動を大好きになり、何かのスポーツを極める中で優秀なスポーツ選手に育っていく可能性も十分にあります。実際に大人も驚くような野球のセンスを持っている小学3年生の男の子もいますから。

そういった運動の技術と違い、僕が子供たちに本当に身につけてほしいと願っている「学ぶ力」や「楽しむ力」といった幸せに生きていく力はすぐ目に見えるものではないかもしれません。でもきっとその種はひとりひとりの子供の中に蒔かれていて、子供達自身が自分で水分や栄養を吸収し、風雨にもまけずに花を咲かせてくれくれると思っています。

 

まなびデザインスポーツ教室
飯沼正樹